茶館通信 【大和薬食処 ならやま茶館 えびす小路ダイニング】

2018/4/9 Vol.007 陽春の薬膳食材

日も長くなり、高まる陽氣の影響を受けて体内の氣も頭に昇りがちで、のぼせや頭部の炎症を起こしやすい季節です。頭部の氣を鎮めるために甘いものを欲しやすくなる季節でもあります。
テレビやスマフォの操作は氣を高ぶらせ、余計に甘いものを欲してアレルギーやイライラを増進してしまう恐れがあります。
旬の野菜の多くは氣を鎮める作用を持っています。合谷や手三里、曲池の手当ても効果があります。
また、春の美しい景色を眺めて、楽しい気持ちになることでも目や頭を休めて氣を鎮めることができそうです。


お献立

○独活と若布と八朔のサラダ [肝][腎]
独活は血の巡りを良くして余分な熱や湿気を除き、痛みやこわばりを緩めてリウマチを防ぎます。若布も熱や水分の排出を促すのでむくみや便秘の改善が期待できます。
○分葱のぬた和え [肺][脾]
分葱は胃腸を温めて機能を高め、胃もたれやゲップ、胸やけを防ぎ、食積も解消します。体表の氣の巡りを良くして皮膚の代謝を促し、こりやむくみも除きます。
○蕗のキッシュ [肝][心][肺]
蕗は体を温め、気血の巡りを良くして痰やむくみを除きます。瘀血を改善して肌のつやを良くし、気分の鬱々を解消します。
○土筆と仙台麩の玉子とじ [肝][腎]
春に芽吹く植物特有のアクのある渋みは、氣を鎮めて血を降ろし、目や鼻の炎症を抑えて肩や首のこりをほぐします。浄血作用、止咳作用、むくみの排出作用を持ちます。
○蓬と新玉葱の湯葉饅頭 [肝][腎][肺]
蓬も玉葱も氣血の巡りを良くして体を温め、臓腑の機能を高めます。冷えによる腹痛、腰痛、肩こりを改善します。蓬には内臓脂肪の分解作用もあるとか。
○芹とあさりの胡麻クリーム煮 [肝][腎][肺]
芹は肝の熱を鎮めて、充血やイライラ、高血圧を改善します。あさりは余分な熱や痰を除き、血を補って気持ちを穏やかにします。胃酸を中和して、胃の痛みや胸やけにも効きます。
○芹菜(セロリ)と舞茸のおこわ [肝][脾][肺]
芹菜は頭に昇った氣を降ろして、頭痛や血圧の上昇を抑えます。特有の香りは、食欲増進や抗がん作用、不安や緊張を緩和する作用もあります。

2017/12/12 Vol.006 師走のお献立

○奈良のっぺい [脾][肺][肝]
奈良では12月のおん祭の時にのっぺいを食べる習わしがあります。里芋のとろみでのっぺりと炊き上げます。里芋のネバネバ成分ムチンは胃腸の粘膜を保護して消化吸収を助けて体力を回復させ、肝細胞を強化する作用も持ちます。胃もたれする人、水分代謝の悪い人は控えめに。
○南瓜と小豆の信太焼き [脾][心]
冬至に南瓜と小豆のいとこ煮を食べると風邪をひかないと云われます。南瓜はからだを潤して乾燥から守って免疫力を高め、血管や肌を保護する作用を持ちます。小豆は強い利尿作用を持ち、顔や全身のむくみや腹水、黄疸、毒素の排出を促します。
○白葱とエリンギの酒粕グラタン [肺][心]
葱は氣血の巡りを良くし、発汗作用で風邪を払って熱や寒気、節々の痛みも除きます。過食するとのぼせや乾燥、目やにも増えます。酒粕はお腹を温めて血行を良くします。骨粗鬆症の予防、アレルギーの抑制、美肌作用も持つとされています。
○蓮の実入り明太蓮根コロッケ [心][腎][肝]
蓮根は胃腸を丈夫にして下痢を止め、五臓を養います。増血、浄血作用も持ちます。蓮の実は精神安定、安眠作用を持ち、腎を固めて頻尿を抑える作用も持ちます。
○栗と銀杏の粽 [腎][肺]
栗は胃腸を丈夫にして血行を良くします。腎を養い足腰を強化します。銀杏は肺機能を高めて咳や痰、喘息を改善する作用を持ちます。腎を固めて頻尿を抑える作用も持ちます。糯米は胃腸の消化吸収力を高めて体力をつけ、疲労を回復します。

2017/9/28 Vol.005 秋分の薬膳食材

湿気も薄れて秋らしい風が感じられると、肌感覚が敏感になって感受性も高まり、芸術に感銘を覚えやすくなります(芸術の秋)。
朝晩の気温の低下により、体温の発散を防ぐため体が収縮しますが、片側だけ収縮し始めるので腰に捻じれが生じます。捻じれは腎を刺激して尿量を増やし、夏の間は汗で排出していた分を尿で排出するように促します。また、この捻じれは胃も刺激して食欲を増進させます(食欲の秋)。
秋の実りをいっぱいいただいて、体の欲求を満たすことは理に適ったことなのかもしれませんが、秋を食欲だけで終わらせないように感性も磨きたいものです。

お献立

○南瓜 (温性) [脾]
胃腸の吸収力を高めて元気をつける。ビタミンEが豊富で抗酸化作用により、肌や血管の老化を防ぎ、免疫力も高めます。インシュリンの分泌を高める作用も持ちます。
○里芋 (平性) [脾][肝]
胃腸の粘膜を潤して丈夫にしてタンパク質の消化吸収を高めます。ネバネバ成分ムチンは肝細胞を保護して解毒や栄養代謝を助け、滋養強壮作用を持ちます。
○冬瓜 (寒性) [肺][腎]
氣を降ろして利尿を促し、余分な熱やむくみ、高血圧を解消します。肺を潤して喉の乾燥を防ぎ、痰の切れを良くします。低カロリーで新陳代謝を高めるので肥満改善に適。
○山芋 (平性) [肺][腎]
胃腸機能を高めてむくみやだるさ、軟便を改善して体力をつけます。肺機能を高めて咳を抑え、肌を潤す作用、腎機能を高めて頻尿を止め、精神安定作用も持ちます。
○椎茸 (寒性) [肝][肺]
余分な熱や痰を排出して解毒し、高血圧やのぼせを解消します。がんや骨粗鬆症の予防作用を持ちます。氣の巡りを良くして体力、気力の衰弱を助けます。
○マコモタケ (寒性) [肺][心][脾]
水生植物、真菰の新芽が肥大化した部分。高血圧や血糖値下げて血を浄化します。免疫力を高め、がんの抑制作用があるとされています。肌荒れや体臭を抑制する作用も持ちます。
○柿 (寒性) [心][肺]
氣を降ろして熱っぽさやイライラ、高血圧を鎮めます。肺を潤して喉の渇きを解消し、咳を抑えます。抗酸化作用、抗老化作用を持ちます。冷え症の人、水太りの人は控えめに。

2014/3/7 Vol.004

春の兆しは花粉とともに・・・。せっかく心浮き立つ季節なのに不快な症状に悩まされます。鼻粘膜、喉や目の粘膜の炎症に留まらず、頭痛、発熱、倦怠感、集中力の低下を伴う場合もあります。
花粉症は東洋医学でいうと‘風邪(ふうじゃ)’に属し、大まかに‘寒邪’と結合する風寒タイプと‘熱邪’と結合する風熱タイプ、他に体力低下による虚弱タイプに分けられます。
風寒タイプは水様のうすい鼻汁、悪寒、白くうすい痰が見られ、温性で氣の巡りを促す食材が適します。韮、玉葱、生姜、紫蘇、金柑、辣韮、陳皮などがいいでしょう。
風熱タイプはネバネバした鼻汁、鼻腔や頭部の熱感、目の充血、黄色く濃い痰、喉の腫れ、冷水を欲しがるという症状が見られ、寒涼性で排出作用のある食材が適します。芹、ナズナ、セロリ、金針菜、もやし、白菜、豆腐、蓮根、ハトムギ、菊花などがいいでしょう。
倦怠感や、眠気、汗かき、便秘か軟便を繰り返す虚弱タイプには、棗、山芋、糯米、粟、栗、枸杞の実、蓮の実など滋養作用のある食材がよく、特に棗はアレルギーを抑制する効果があります。
花粉症を含めたアレルギーは肝臓と関わりが深く、右腕の疲労、目や神経の疲労は肝臓に負担をかけて症状悪化を招きます。テレビやコンピューター、携帯電話などで目や頭を酷使することも症状悪化につながります。くしゃみは硬直した首や肩甲骨周りをほぐす自己調整機能なので、薬で無理に止めると肝硬変を引起こす可能性もあるので、厭わず自然に任せるのがいいのかもしれません。

薬食のはなし

○生姜
からだを温めて美容と健康に役立つと人気上昇の生姜。生姜の成分、ジンゲロンやショウガオールなどは強い殺菌力を持ち、新陳代謝を活発にし、発汗作用を高める作用や、血中コレステロールを減らして血管を軟化する作用、胃液の分泌を促す作用も持ちます。
薬膳において、生姜は温性で辛味に属し、肺経や脾経に作用するとされており、発汗作用で寒気を払って風邪を治したり、肺を温めて余分な水分の排出や咳止め、胃腸を温めて消化機能を高めるとしています。生ものや寒性の食材に添えることで、寒性を和らげたり、殺菌作用でからだへの害を少なくしてくれるので、菠薐草や茄子など寒涼性野菜に、蟹など寒性で中毒の恐れのある食材に添えると効果的です。
季節を問わず薬味として手軽に利用できますが、温性で氣を昇らせる性質なので、皮膚病や高血圧を悪化させたり、のぼせや痔の回復に不利となる恐れがあります。摂りすぎるとからだを潤す作用が弱まり、口や喉の渇き、肌の乾燥、微熱、めまいの他、肝を傷めて不眠、イライラ、喋りすぎ、マイナス思考といった症状にもつながります。また余分な熱がからだにこもって、目やにや痰が生じやすくなります。美容と健康に良いといっても摂れば摂るほど良いということではないので体質や体調に合わせて利用しましょう。

2012/11/13 Vol.003

秋も深まり、ひんやり乾いた空気に包まれて、気持ちのいい季節になってきました。湿気と暑さから開放されて、肌感覚が敏感になり、神経も繊細になって感性が豊かになってきます。“芸術の秋”秋は芸術を味わうのに適した季節です。
しかし、秋の冷えて乾燥した空気はそれを吸い込む肺を傷めやすくします。肺が冷えて乾燥すると、喉や気管の粘膜が荒れて咳が出たり、鼻水、鼻づまりが起こります。
肺は呼吸をするだけの器官ではなく、大気中から得た氣を全身に巡らせる機能、免疫機能、汗や尿などの水分代謝や体表を保護する働きも担っています。肺が痛むと風邪を引きやすくなるほか、氣の巡りが悪くなって汗や尿、便が出にくくなったり肌荒れを起こしたりします。
肺は「悲」の感情とも関っていて肺が痛むと悲しみやすくなり、また悲しみにくれると肺を傷めてしまうとされています。肺が傷むと背中が曲がって思考もうつ向きになり、またその逆にうつ向き思考が背中を曲げて肺機能を衰えさせるという構図なのでしょう。ちょっと感傷的で寂しい気分になりやすい季節でもあります。
さあ“食欲の秋”肺を潤す秋の恵みをいただいて、姿勢を正
して芸術に触れに出かけましょう。

薬食のはなし

○柿(かき)[寒性]【心】【肺】(干柿は微温性)
奈良県は柿の収穫量全国2位だとか。大和の風景に柿は良く似合いますよね。
柿は体にこもった余分な熱を冷まし、肺を潤して喉の渇きや咳を収めます。口内炎や咽喉炎、膀胱炎など炎症をおさえる作用を持ちます。渋味成分タンニンには抗酸化作用、血圧降下作用、抗菌、抗がん作用、血管強化作用など美容と健康に高い効果があります。
(過剰摂取は胃腸機能を弱らせたり、便秘や不整脈を起こすという報告もあります。)
また、アルコールの分解を促進する酵素を含み、二日酔いを解消する作用も持ちますが、その酵素は完熟した甘柿に多く、追熟したものやあわせ柿では効果は薄くなるようです。
寒性なので冷えやすい人や腎機能の弱っている人は控えめに。水太り気味の人も水分代謝に不利なので控えましょう。
干柿はからだを冷やす作用は和らいで胃腸を養い、下血、吐血、下痢止め、咳止め作用があります。柿のへたを煎じると、しゃっくりや夜尿症に効くとされています。

2012/06/4 Vol.002

季節は初夏から梅雨へ、気圧変動の激しい季節です。大気中の湿気が増すと、皮膚呼吸がしづらくなって、体表を守る「衛氣」が弱まり、傷が治りにくくなったり、湿疹や水虫など皮膚トラブルが現れます。また、皮膚表面からの水分代謝も悪くなって、胃腸が水分代謝を一手に引き受けることになり、消化機能が衰えて下痢や食あたり、潰瘍などの症状が現れます。
からだを動かす筋肉繊維も湿気で洗濯物の生乾きのような状態となって、脚腰のだるさやギックリ腰、こむらがえりが起こりやすくなります。
このような湿気による症状を解消するには、水分代謝を高める食材(大麦、もやし、緑豆、空豆、アスパラ、金針菜、海藻類など)、香りの良い氣の巡りを良くする食材や発汗を促す食材(セロリ、玫瑰花、陳皮、紫蘇、葱、生姜など)を積極的に摂って冷たいものや甘いもののとりすぎで胃腸に負担をかけないように心がけるといいでしょう。
からだを動かして、汗をかいて体内の湿気を排出することも大切です。自ら運いてかいた汗によって肝臓では分解できない毒素(公害物質、人工甘味料、合成着色料など)が排出されると云われています。鬱陶しい季節ですが家にこもらず、できるだけ動いて汗をかいてからだの湿気対策を。汗をかいたらすぐに拭く、着替えるなど汗の処理も忘れずに。

薬食のはなし

●お茶
そろそろ新茶の季節。奈良県のお茶の生産量は全国6位だとか。大和高原地域の冷涼な気象条件 のため茶葉がゆっくりと肉厚に成長し、他地域より茶摘の時期も遅いそうです。日本でよく飲まれる緑茶は摘んだ後に加熱して発酵を止めるので若々しいさっぱりとした味わいになります(発酵させると烏龍茶や紅茶に)。緑茶は寒性でからだの余分な熱を鎮めてイライラを解消、眠気を払って集中力を高めてくれます。ビタミンCが豊富で風邪の予防や美肌作用も持ちます。近年注目されているカテキン(渋味成分)は血圧、血中コレステロール値の降下作用、動脈硬化の予防や抗菌、抗ガン、抗酸化作用や減肥、美肌作用などが認められ、美容健康食品に利用されています。
からだを冷やす性質を持つ(温かくして飲んでも体内で陰性に作用する)ので冷え症や水分代謝の悪い人は胃腸が冷えて水分の排出ができず水ぶくれ(下腹ぽっちゃり)になりやすいので控えたほうがいいでしょう。また正常な人でも夜に飲むと夜間尿の量が増えて眠りが浅くなったり、腎に負担をかけることにもなるので控えめに(カテキンを抽出したサプリメントなどは強くからだを冷やして危険かも)。ほうじ茶なら茶葉を焙煎することで寒性が和らいでいるのでお腹に優しく作用します。 

2012/03/12 Vol.001

●季節は冬から春へと向かっていきます。植物は芽を吹き、虫たちが這い出るとき。みずみずしい生命力があふれる季節です。人のからだも寒さで閉じていた骨格が開き始め、活動的なからだへと変化してゆきます。
冬の間のコリがほぐれないと骨格の開きもスムーズに進まず、ウツウツやイライラ、花粉症など春の不調の原因になるとされています。
また肝機能も活発になって冬の間に溜まった老廃物を排出しようとし始めます。くしゃみや咳、鼻みず、皮膚炎などは体内の毒素の排出作用でもあるので、症状を薬で抑えつけると肝機能が衰えるおそれがあります。
春の野菜の持つ強い生命力は細胞を目覚めさせ、からだの毒素の排出の手助けをしてくれます。茶館でも、この季節、春の野菜たちが毎日あらわれます。菜の花、蕗のとう、菊菜、若牛蒡、芹…など
春の生命をいただいて気持ちいい春を迎えるからだづくりをしておきましょう。
腕や目を暖めるのは冬のコリをほぐすのに有効ですよ。

薬食のはなし

苺(いちご)〔寒性〕【肺】【肝】
かつて奈良県は苺の名産地でしたが、今は各地でいろいろな品種改良品が出ています。
近年は12月から苺が出回っていますが、本来は初夏が旬。熱を冷ます作用があるので、寒いうちからたくさん食べると、消化機能の低下や足腰のだるさを招くおそれがあります。
寒気のない発熱、口の乾き、熱っぽい高血圧の方には良いですが、冷え症や日頃から飲み食べすぎで水分代謝が低下している(下腹ぽっちゃり)方は控えたほうがいいでしょう。
豊富なビタミンCは血管や粘膜を丈夫にして、風邪ウイルスを攻撃し、発がん物質を抑制する作用があり、美容や免疫力向上に効果があります。